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すでに明海は家にはいなかった。 惣介は一人読書を楽しんでいる。 シェリーはしなやかに歩き、惣介のもとに歩み寄った。 「シェリー起きたのかい」 惣介はそういって、シェリーの喉元を優しく撫でた。 「可愛いね。シェリー」 (愛しているわ。惣介さん) シェリーはそんな意味をこめて「ニャー」と甘い声で鳴いた。 「そうか、おなかが減ったのか。今、猫缶を開けてあげるからね」 (・・・。) 誰よりも近くにいたいと願ってる。 でも遠すぎる壁が彼との間にある事をシェリーは誰よりも知っている。 台所で猫缶を開けている惣介の背中をみながらシェリー小さく呟いた。 (恋人になれないのは分かっているの…だから、せめて一秒でも多く、アナタの傍にいさせてね) そんな呟きさえ届きはしない でも伝わっている良いとシェリーは願う
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