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屋上を出て、教室に戻る。 「全く…きぃも潤ちゃんが浮気するわけな…」 途中で、話し声が聞こえたから壁に張りついてきいた。 「やだァ、潤ったら」 「何がだよ―ぅっ!美央、可愛い顔しやがって」 キャッキャッとイチャイチャしているのは紛れもなく… 潤ちゃんと美央だった。 聞いた事、ない。 潤ちゃんのあんな声。 美央の甘い声。 2人は空き教室で話していた。 興奮してきたのか、色々やり始める。 今はそんな事どうだっていい。 だって… 美央、言ったよね? 『分からない』って。 潤ちゃんもあんな言葉… きぃに一度も言った事ないじゃない。 ルックスも性格も良い潤ちゃん。 ニコニコしてて可愛い美央。 不覚にも お似合いだとは思うけど… きぃが…悲しむ。 絶対に教えちゃ駄目 例え未来で別れを決断しているとしても… 私が後々嫌われたとしても… 知られる事だけは駄目だ。 「ねえ、潤っ」 甘く、色っぽい声で潤ちゃんを呼ぶ。 …呼び捨て。 「何?」 「こんな事、鱚香に知られたらどぉするの?」 おっ……! 思わず声が出そうだった。 皮肉にも、今、周りに人はいない為、シーン…と静まり返っている。
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