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「覚えている?母さん。」
妻は写真を見つめ懐かしそうに言う。
「覚えているに決まっているじゃあない。一番大切な思い出だもの。」
妻はまだ覚えてくれていた。それだけで涙が出そうになる。まだ桜の場所についていないのに。
「今日はそこに行くのね。楽しみだわ。」
妻も涙を浮かべながら言った。
桜の場所へと着き、娘達と別れて二人きりになった。
「綺麗な桜ね。」
と妻が言った。
「ああ、とても綺麗だ。」
ここで私と妻は結ばれた。とても大切な場所だ。今年も妻に思い出して欲しい。私は妻の次の言葉に期待した。
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