第八章:死

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「お父ちゃん、何?」 妻にはきっと届くはずだ。 …お前…私を抱いてくれ…お願いだ… 必死に妻の心に語りかけた。 「何度でも抱くよ。」 妻が私をそっと抱いてくれた。妻と私の顔がぴったりとくっついた。死に際になって思う。妻は美人だと。 …すまなかった… 「何を?」 …私は若い頃、仕事ばかりに熱心になっていて、お前達の事は放っていた…お前が病気になるまで共に生きていく事を忘れていた…今更気づいたって遅いのに…。もう少し共に生きていけたら…
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