第八章:死

4/4

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「何を言っているの。私はあなたから大切な物を沢山もらった。ずっと一緒に生きてきたんだよ…。あなただったから私は今もとても幸せなんだよ…。 良かった妻は私を許してくれていたのだ。 娘の声がした。 「お父さん大丈夫。ずっと一緒に歩んでいたのだから。」 娘も同じ事を思っていてくれたんだ。最後の気力か沸いてきた。 「…ありがと…」 体の力が抜けていく。息も出来ない。でも不思議と怖くは無かった。妻と娘の笑顔が目に焼き付いているから。怖くは無い。妻の腕の中で私は永遠の眠りについた。 「お父ちゃん嫌だよ…。約束したね。お父ちゃん帰ってくる。愛しているよ。まだ逝っていないよね。帰ってくるわ。きっと…。」 妻は狂ったように言葉を繰り返した。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加