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「……日和お姉ちゃん?」
俺が眼福を得て、内心一人でEXILEを踊っていると、乾いた声が部屋に響いた。
呼び方から分かるが、声の主は美空──星空兄妹の妹、垣添 美空だ。
垣添父が、我が馬鹿親父に連れ去られた(と、俺は思っている)為、昨日から居候という形で家で暮らしている。
どうした?
お前さんが2ページも黙ったままなんざ、珍しいな。
「……お姉ちゃんとお兄ちゃん、一緒に寝てたの?」
──あ。
俺達は顔を見合わせ、揃ってその一言を発した。
忘れていた。
日和が布団から出て来るのを、美空に目撃されていたのだ。
「おまけに、胸を揉んだとか、お姉ちゃんのその格好とか……」
──え?
更に、俺達の間抜けな声が重なる。
そう言われて日和を見れば、確かにアレだ。
頬は紅潮、暴れたせいで制服の上着は肩からずり落ち、シャツのボタンが外れてリボンも緩んでいる。
そこに、胸が云々……って。
「ちょ、ちょい待て美空!!違うぞ、そういうのじゃないぞ!?少なくとも俺は朝からそんな事をする気は無いし、するならこの発情娘の方からあぐふっ!!」
「だーれーが発情娘だって!?美空ちゃん、本当に違うよ?ただ春がアタシに溜まりきったナニをぶつけようとしたのを、アタシは回避しようとしてただけで」
「溜まってねぇ!!大体、先にベッドに潜り込んで来たのは日和だろうが!!」
「ふぇっ!?お、起きてたの!?……~っ、春のバカぁ!!いじわる、鬼畜──っ!!」
日和の頬が一気に真紅に染め上がり、俺の胸板をポカポカ叩いた。
……よほど恥ずかしがったらしい。
て言うか、今のは完全に口が滑った……。
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