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「美空、恥ずかしいよ!は、離れてっ!」
「えー、星也って抱き心地いいんだもん。
お、その髪型、可愛いねー」
俺と日和は、じゃれ合う(星也は逃げようとしているが)2人をポカーンと見つめていた。
顔を真っ赤にして離れようとする星也を、美空は首に腕を巻き付けて離そうとしない。
端から見れば百合全開の展開を、俺は何とも言えない感覚で見守っていた。
せめて星也が髪を解けば、まだ健全な感じがするのだが……。
「星也くんも美空ちゃんも、仲よしだね」
「どうする?また見せ付け返してやるかよ?」
「ばか。……恥ずかしいからダメ」
日和はフイと顔を逸らし、腕を胸の前で組んだ。
……あー、まだ怒ってるかね。
まあ、確かに意地の悪い真似をしたな……。
結局キスもしてもらえなかった訳だし。
「……そういう事、するのは……責任が取れるようになってからだよ?」
日和は頬を朱に染め、小さく微笑みながら呟いた。
その笑顔と、いつになるかは分からないが、許しが出た事に……ええ、もう天に昇る勢いでしたわ。
「すぐに、責任なんざ取れるだけの男になってやるさ。……覚悟しとけよ?」
「ふふん、早くアタシを安心させてよねー?
楽しみに待ってるから!」
「わ、美空!耳に息吹きかけないで……っ」
「あははっ、可愛いなー。何だか妬けちゃいそう」
結局、その日は4人とも母さんに家から叩き出された。
4人揃って遅刻したが、今までに無い、楽しい朝だった。
想いが繋がった翌日は、こうして過ぎていった。
不器用でも、遠回りでも、失敗しようとも、俺達は歩みを止めない。
俺達はお互いがお互いを支える、「幸せ」のカタチだから。
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