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俺の記憶の中には、いつも一人の少女がいた。
いつも……そう、本当にいつもだ。
俺の傍に常にあった、輝く笑顔。
それが無かったのは──あの時だけ。
あの時とは何だ?
俺は覚えていない。
時々、頭の中におぼろげな思い出の欠片が浮かんで来るだけ。
思い出せるのは……綺麗な夕焼けと──……俺に手をふる姿。
誰の、姿?
真実は分からない。
俺は何を持っているのか、分からない。
それが現実に起こった事実なのかすらも。
誰かに言われた事があるような気がした。
俺が、不思議な何かを持っている──……何故か、懐かしい言葉だった。
思い出そうとすればする程、頭には靄がかかり、記憶は薄れていく。
夢を、見ていたような感覚がした。
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