翌日

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再び、緊張が体に走る。 まさか──という淡い期待が、頭に浮かんでは消えた。 頬を仄かに染めた日和は、躊躇いがちに手を伸ばす。 日和の手が俺の頬に当てられ、熱っぽい視線が俺を捉えた。 ……出たな。ラブコメ的雰囲気が……。 俺の体はガチガチに硬直し、心臓は激しく鼓動を刻んでいた。 何せ、俺は日和と恋人らしい事などほとんどしていない。(昨日の今日だから当たり前だが) 先程までは眠気があったから平然としていたが、今考えれば同じベッドで寝るなんて、心臓が爆発しかねんぞ。 そんな事を考えているうちに、日和の顔がどんどん近付いて来ていた。 近くで見ると、本当に見とれてしまう程端正な顔立ちをしている。 薄い唇は柔らかそうで、伏し目になると分かるが、睫も長い。 そんな彼女が、頬を赤らめて迫って来るのだ。 不覚にも……ガラでもなく、ドキドキしてしまった。 それはもう、口を開ければ心臓が百五十キロくらいの速さで飛び出しそうだった。 そう言えば昔、「キスの時に目を綴じるのは、精神を落ち着かせようとする為だ」という、どこぞの学者の見解を聞いた事があった。 成る程、当たっているかもしれない。 薄目を開けていると、恐ろしい程に心臓が飛び跳ねる。 やはり、目を開けた先に広がっている光景が、刺激的過ぎるからだろう。 しかし同時に、この光景を見逃したくないという気持ちにもなる。 何せ、恥ずかしがっている日和が、筆舌し難い程に可愛らしいのだ。
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