さよなら平穏な日々

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甘い香りが僕の鼻をくすぐる。 テーブルに置かれているのはおいしそうなアップルパイ。 焼きたてのアップルパイは僕の大好物。 甘いもの全般大好き。 「ギース様、切り分けます」 静かな落ち着いた声がして、ナイフを持った手が伸びてくる。 サクリとナイフがアップルパイに刺さり、慣れた手つきで切り分けられていく。 ナイフを持つ手はすべすべの白い肌で、顔をあげればそこには腰まで伸びたストレートの銀の髪、感情の無い黒い瞳を持つ女性がいる。 美しく綺麗に整った顔には感情なんてものは無く、まるで人形。 実際人形なんだけど。 だから名前はドール。 ……捻りがないよね。 壊れて捨てられていたのを僕が見つけて拾った。 修理したら僕のことを主人と認識して、今までずっと僕の身の回りの世話などをしてくれている。 すごく助かっている。
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