マリーゴールド

さよなら平穏な日々

ふわり。

ふわり。

暖かな風が花の香りを運び、カーテンを揺らす。

小鳥のさえずりが耳に届く。

体を起こし伸びをひとつつくとベッドからゆっくりとおりた。

広い部屋にはベッドの他にアンティーク調のクローゼットにソファーなどちょっとした家具が置かれている。

床にはフワフワの赤を主とした絨毯。

その柔らかな感触が素足に気持ちいい。

くすんだ黄金色のドアノブを回すとガチャリとドアを開け、廊下にでた。

廊下にでれば壁にドアが沢山ある。

使われていない部屋達だ。

この屋敷にはたくさんの部屋がある。

でも住んでいるのは僕とドールともう一人だけだから、使われている部屋は極僅かでほとんどの部屋は使われていない。

もったいないね。

静かな廊下を歩けば一階に続く階段があり、ひんやりと冷たい手摺りを触りながら下へと降りる。

階段を降りればだだっ広い空間。

玄関がありキッチンや居間へと続くドアがある。