さよなら平穏な日々

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ひとつのドアを開いた。 そこは洗面台と浴室がある部屋。 洗面台の前に行き蛇口をひねれば勢いよく冷たい水が流れ出る。 顔を洗おうと前髪を横にかき分ける。 チラリと鏡に目をやるとそこに映るのは、血のように紅い紅い深紅の瞳。 大嫌いな僕の瞳だ。 こんな鮮血のように紅い瞳は僕は嫌い。 昔、この瞳を見た人間は言った。 『血のようで気持ち悪い』 と。 僕もそう思う。 僕のこの瞳は血のようで気持ち悪い。 嫌いを通り越して憎いとさえ思うよ。 なんでこんな色を持って生まれたのだろう。 急いで顔を洗い顔を拭うと長く伸ばした前髪で忌々しい瞳を隠した。 僕が前髪で目を隠しているのは、この瞳が嫌いで誰にも見られたくないから。 空や海のように蒼い色がよかった。 心からそう思った。
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