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花に囲まれツヤツヤの黒い尻尾をふりふりと揺らしている。
獅子の尻尾だけど、なんだか犬みたい。
それにしても一体何をしているのかしら。
「あ、いいこと思いついた」
ふふ。いつもマリーのこと笑うから仕返しよ。
椅子から降りると足音をたてないよう細心の注意をはらいながらそろそろとギースに近づく。
まだマリーに気づいていないギースは暢気に鼻歌を歌いながら何かしている。
ふふふ。
驚きなさい。
飛び跳ねなさい。
反応を想像すれば口が緩む。
笑いたくなるのを堪えながら、ギースの背後まで来ることに成功。
ギースの背中を勢いよく叩こうと手を構え、それを振り下ろそうとした瞬間。
「はい、どうぞ」
「わぎゃあぁぁぁあ!!」
予想外のことに驚き飛び跳ねた。
みっともない悲鳴が耳に届いた。
それはマリーのもので、想像していた驚き方をしたのは……マリーのほうだった。
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