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暖かな気持ちで満たされながら、花畑を見渡した。
いろんな季節のいろんなな花が可愛く咲き誇る美しい花畑。
「いろんな季節の花が咲いてるけど、なんで?」
美しいこの花畑は普通では有り得ない。
疑問を口にしながらギースのほうを見れば、雰囲気からして得意気に胸を張っている。
「僕の魔力で包んでるからだよ。魔力で季節関係なしに咲かせてるんだ」
魔力。
やっぱり『悪魔』なのね。
でも魔力を花の為に使うなんて、ギースらしいわね。
「あなたって、本当に変わってるわね」
何度そう思っただろう。
でもこれがギースなのよね。
花に囲まれた『悪魔』が可笑しくて、花冠が嬉しくて、花畑が美しくて、声をあげて笑った。
そんなマリーにギースはきょとんとしていたけど、つられるようにギースも笑った。
ああ。
楽しくて笑ったのは久しぶりだわ。
ここはなんて暖かな場所なんだろう。
「ねぇ。ここにはマリーゴールドは咲いてる?」
ひとしきり笑って、ギースに尋ねた。
知りたかったの。
ここにはマリーゴールドが咲いていないから。
あなたがマリーゴールドを好きなのかを。
この花畑には咲いてないのなら、もしかしたらあなたも……。
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