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「僕ね、マリーゴールドが大好きなんだ。……大好きっていうより憧れかな?なんてったって神様の花だからね」
楽しそうに言うギースから目を逸らすことができない。
だって今まで散々マリーゴールドは臭い花と言われ続けてたから。
みんなが嫌う花をあなたは大好き、憧れって言ってくれるから。
嬉しくて、仕方なかったの。
「もしかして、マリーはマリーゴールドが嫌いだった?」
「とんでもない!!大好きに決まってるわ!!だってマリーと同じ名前の花なんだもん!!」
「同じ名前?」
マリーの名前、そういえばちゃんと名乗ってなかったことに気づいた。
ギースは愛称しか知らなかったわね。
「マリーは愛称。マリーの本当の名前はマリーゴールドよ」
今までみんなに馬鹿にされ続けた名前を教えるのに、ほんの少しだけ不安を感じる。
染み付いてしまったのかしら。
馬鹿にされることを。
でもギースはそんなマリーの不安をよそにニコニコと笑う。
「素敵な名前だね」
その言葉に何か言おうとしても頭が真っ白になって何も言えなかった。
胸が熱くなる。
熱いものが込み上げてきた。
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