マリーゴールド

素敵な名前

視界が滲んだ。

滲んだ視界にオロオロとするギースの姿がぼんやりと見えた。

「え、え、え？ぼ僕何か……した？」

「……違うの」

違うの。

これは悲しいからじゃない。

これは嬉しいから溢れ出たの。

嬉しくて嬉しくて。

胸が熱くて涙が溢れ出たの。

「泣かないで」

ギースが心配しながらマリーの顔を覗き込み、袖で優しく涙を拭いてくれた。

溢れ出した涙は拭いてもとめどなく流れ落ちる。

ギースはそれを優しく袖で拭い続けてくれた。

優しい行動に胸がもっともっと熱くなり、余計に涙が溢れ出てしまう。

「マリー、大丈夫？」

「……ック。大丈……夫よ。ヒク。ねぇ、本当に……ヒッ……ク素敵な……名前だと…ッ思うの？」

嗚咽混じりに声を絞り出せば、涙を拭う手とは逆の手で花冠がおかれた頭を優しく撫でる。

大きな手が優しくマリーの頭を撫でる。