6429人が本棚に入れています
本棚に追加
ここに来た時にくぐった同じ門が、今私達の目の前にはある。
ゴウルの屋敷のホールに出現したそれをくぐれば、その先はリーアンの故郷があるらしい。
「マリーったら~、泣かないの~」
最後の別れでもないのに、会おうと思えば会えるのに、私はボロボロと涙を零しながらリーアンの手を握り締めていた。
「こ……これは汗よぅ……」
間抜けな言い訳にリーアンは声をあげて笑い、私の頭を優しく撫でてくれる。
姉妹のいない私には不思議な感じだけど、お姉さんってきっとこんな感じなんだろうな、って思った。
リーアンは私より年上で優しくて暖かくて、頼りになるお姉さん。
そう思っていいかしら?
「じゃあそろそろ行くね~。姉さんと二人で遊びに行くから~」
「絶対来てよ!!絶対遊びに来てよ!!」
「約束するわよ~。またアガミも一緒に語るわよ~」
「楽しみにしてるから」
口約束。
けれど、私達は友達だから、離れていてもずっと一緒。
「開けるよ」
ゴウルが言うと、ガゴンと低い音がして、重々しい扉がゆっくりと開いた。
開いた隙間から洩れるのは眩いばかりの光。
地上の太陽の光だ。
「いろいろごめんね。ありがとう。お姉さんと幸せにね」
「マリーこそ~。ギースと幸せになるのよ~」
赤面しそうになることを言いながら、お姉さんとしっかりと手を繋いだリーアンは扉をくぐる。
眩い光に包まれて、二人の姿は薄れていった。
そして扉が閉まる最後
「目に映るものに騙されないで、ギースの言葉を信じるのよ~」
と確かに聞いた言葉は、今は理解できなかった。
最初のコメントを投稿しよう!