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可愛らしい家の扉をゴウルがノックすれば、乾いた軽快な音が辺りに響く。
この時すごく心臓がドキドキしていた。
誰がこの家から出てくるのか。
ギース?
それとも、嫌な予感のとおり……女の人?
もしギースが女の人といたなら……私はどうすればいい?
ギースは女の人と一緒にいるのを選んだの?
心臓が破裂しそうなぐらい暴れるなか、じっと扉を見ていても、開く気配はなかった。
「……誰もいないの?」
「おかしいね。中からは確かに気配がするのに」
ゴウルは首を傾げながら、二枚扉の鷲を象った取っ手を掴み手前に引けば……開いた。
中の灯りが漏れでて、ゴウルと顔を見合わせる。
「開いてる……」
「開いてるねえ」
「どうしよ。……お邪魔しちゃう?」
「それがいいねえ」
短い会話をして、私達は家のなかにお邪魔することにした。
家の中を覗き込み、誰もいないのを確認すると、そぉっと中に足を踏み入れる。
勝手に人の家に侵入するのは気が引けるけど……そんなものよりギースがいるのかが気になって仕方なかった。
明るい室内はいろんな可愛らしい家具が並び、明らかに家の持ち主は女を表していて、心臓が一層バクバクする。
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