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「ったぁ~」
どうやら何かに足をとられて派手に顔からこけたみたいだ。
今日はいつもと違う登場の仕方で本人は痛い思いをしているのだけど、相変わらずの元気のよさに顔が緩んでしまう。
笑ったら怒られるから口元を手で隠しながら笑いをかみ殺した。
ひとまず作業を中止し、鼻をさするマリーのもとへ行くと手を差し出す。
「こんにちは、マリー。鼻、大丈夫?」
「……こんにちは。こんなの大丈夫よ」
勝ち気な瞳で僕を見上げると少し戸惑いがちに僕の手を握った。
ほんの少しの力で引っ張ればマリーはすんなりと立ち上がる。
パンパンと服についた土を払い落とすマリーの顔を見れば、鼻の頭の皮が剥けて血が滲んでいた。
勢いよくこけすぎちゃったんだね。
身を屈め、手を伸ばした。
「なっ!?なにするのよ!?」
僕の手がマリーの頬に触れた途端、マリーが驚き声をあげた。
「じっとしてて」
振り払おうとするマリーの手を空いてるほうの手でそれを阻止した。
「早く離れてよ!!」
頬を真っ赤にさせながら真っ直ぐと睨みつける緑の瞳を今は無視して、手を頬から鼻へと移動させる。
傷に触れれば痛みに眉を寄せた。
痛いんだね。
大丈夫。おまじないをかけてあげるから。
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