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「痛いの痛いのとんでけ~」
昔見た人間の親が子供にしていたおまじない。
そうすれば痛みがとんで無くなるのを知って、マネてみた。
マリーは呆気にとられたのかポカンと口を開けている。
変なことしてしまったのかな?
首を傾げればマリーの顔は益々赤くなった。
それはそれは赤く熟れたリンゴのように。
「マリーを子供扱いしないでよ!!」
ぷくっと頬を膨らますその仕草は、まさに子供としかいいようがないんだけどな。
それに実際子供じゃないか。
でもそれは言葉にださない。
マリーが怒るから。
でもあのおまじないが喜ばれないとは予想外だったな。
もっと小さな子供にしか効き目ないのかな。
「まったく!!……ありがとう」
「え?」
恥ずかしそうに俯きながら呟いた言葉。
僕は一瞬耳を疑った。
だって、まさかマリーからそんな言葉がでるなんて思いもしなくて。
自然と顔が緩んでしまう。
「なににやけてるのよ?気持ち悪いわよ」
「くく。マリーが珍しく素直だからさ」
「マリーだってたまには素直になるわよ!!」
「そうだね」
拗ねるマリーに笑みがこぼれる。
マリーをからかうの、楽しいな。
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