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「今日は何をしていたの?」
拗ねていた顔は好奇心溢れるものに変わり僕の顔を覗き込んでくる。
「知りたい?じゃあこっちにおいで」
手招きして歩けばちょこちょこと小動物のように後をついてくる。
親の後を必死でついてくる雛鳥みたいで可笑しかった。
「種を植えてたんだ」
花畑の中しゃがみこみ、地面に転がっているちっちゃな黒い種を指差せば、マリーもちょこんと座ってそれを見た。
何の種か分からないみたいで首を傾げている。
「なんの花の種?」
率直な疑問をむける。
それに対してつい意地悪心が働いてしまった。
「秘密」
「なんでよ~、ケチ!!」
「今教えないほうが咲いてからの楽しみがあるでしょ?」
「ん~……確かにそうね!!咲くまで楽しみにしとくわ」
教えないことに怒ったかと思うとすぐに楽しげな笑顔を浮かべる。
ころころと変わる表情が愛らしくて可愛いと思えた。
ここ最近、マリーといると心が暖かくなるのを感じる。
それは決して嫌なものではなく、むしろ落ち着くような安堵するような不思議なもの。
何かな?と考えても答えは見つからず、自然と答えがでるのを待つことにした。
だってキミはこの種の花が咲くまで僕の所に来てくれんでしょ?
そう信じていいよね?
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