唯一の存在

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目の前が真っ暗になって、闇が視界から退いた時、目の前に広がる光景に絶句した。 大地は割れ、切り取られた大地が山のように積み重なれ、底が見えない程の穴がいくつもあいている。 これは、誰がした? 僕……俺……俺がしたんだ。 「前のギースが戻ってきたぁ!!かっくいい!!かっくいい!!」 ドゥーマが顔を輝かせ、嬉しそうに手を叩いている。 前の俺。 ああ、悲しみと苦しみを吐き出したくて、悪魔としての……魔王としての本性に従ったんだ。 ずっと長い間隠していた本性をさらけ出し、身を任せ、この光景を作り出した。 暴れたら楽になると思っていたが、胸は苦しいまま。 脳裏にマリーの姿がこびりついたまま。 俺はなにやってんだか。 「ねえねえ!!このまま地上に攻めいっちゃおうよ!!狂気と絶望で満たしちゃお!!ドゥとギースなら出来るからさぁ!!ね?ね?」 ……それもいいかもしれない。 でも本当にそんなことをしたら、一生会えなくなる気がして 壊せ壊せと誘惑する本性に必死に抗った。 全てを壊せば、何もかもなくなる。 キミもなくなるのは、死んでも嫌。 俺はどうすればいい?
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