‐Schwartz glance‐

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異音――ネクストの超高密度水素吸着合金が、金属を無理矢理引き裂いた時に発する金切り音を立てて砕け散った。 突き出された痩身の右腕/その腕に装着された射突ブレード排莢口からは、特大のパイルバンカーを打ち出す為に炸裂した火薬の硝煙が薬莢と共に吐き出された。 大穴――恐らくは悲鳴すら上げる暇も与えぬまま、パイルバンカーはコア中央ごとリンクスもろとも貫通/外観の殆どを残したまま、重量タンクは沈黙した。 「後は――『二つ』ばかりかのう?」 再装填/剥き出しの銃身に、マガジンから新たなパイルバンカーがセットされる。 何もかもが遠退く――すぐ近くで聞こえる爆音/いつの間にか公共通信に切り替えられ、そこから聞こえてくる悲鳴と絶叫の数々/今にも爆発してしまいそうなほどに高鳴る心臓の鼓動すらも―― 気付けば――眼前に漆黒がいた。 【――】 ――何を告げたのか? その問い掛けは、コアに突き刺された桜色の灼刃に掻き消された。 【敵性ネクストの沈黙を確認。 ギガントマキアの破壊を再開して下さい】 後ろめたさの滲む通信――その一言が、彼の意識を『辛うじて』正常なものに保ってくれる、唯一の方法。
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