第一章《出会い》

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──12月上旬 コンコンと雪は降りつけて…… 凍てつく寒さが体を揺すり、震わせる。 雪は一面を奇跡に彩る。彩ると言っても、一面が白なので、画用紙を見ているような気分だ。  画用紙には様々なものが描かれる。動物、草木、家。それらは白に体の全てを委ねるので全て白い。  だが人は違う。各々の服装のお陰で、目立つ色に変わってしまう。赤や黄色、青や緑。  自由に彩る人間たちは、自由に自分を生きる。好きなことをして、好きなものを食べ、好きな人と過ごす。  だがそれは、ごく限られた人だけのように思える。少なくとも僕は、その中に入れなかった一人だ……
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