プロローグ

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 レイは店のお抱えシンガー  だったが、涼はフリーの  プレイヤーだったので  仕事が無いことも多かった。  それで…仕事の無い日は  近くのバーでバーテンの  アルバイトもしていた。  黒い長めの髪に、  深く暗い瞳…  スレンダーな容姿の涼を  女達は放っておかない。  時にはレイが歌う店にも  女を連れて来る事もあった。  男と女の間に付き物の感情に  レイは苦しんだ。  帰らない日には  張り裂けそうな心のまま  店に向かう…  そんな時、  涼はいつも酔い潰れて  店の片隅で眠っていた。  しかし…  レイの頭を駆け巡るのは  もっと別の事だった。  恋とは…実に厄介な出来事  なのかも知れない…  しかし…それ無しの人生は  もっと味気ない…  脳内から大量に分泌される  ホルモンによって  人間はコントロール  されている。  恋愛する事で  多くの快楽ホルモンが分泌し  他では経験出来ない幸福感が  得られるのである。 
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