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点滅する銀色のブレードは一直線に彼方のドラム缶に向かった。
鳥も飛行機も砲弾も弓矢もこんな風には飛ばない。
回転する事で加速し、風を捉えて方向を保っているのだろう。ドラム缶の上の黒いモノが弾けるのが見えた。
黒い風船が破裂したかのようだった。
その後、ブーメランは一瞬止まったように見えた。
方向を変えたのだ。
さらに点滅を繰り返しながら、投げた時よりももっと早いスピードで戻ってきて少年の足元の地面に突き刺さった。
「それは武器なのか?」
ドラム缶の向こう側で体を引き裂かれて血を流しているカラスを確かめている少年に、林田は聞いた。
少年は、ブレードに付いた脂と血と泥拭ってブーメランをバックパックに戻しながら、そうです、と答えた。
目がさっきと違っている。
街を爆破したときのニグチと同じ目だった。
あのブーメランで何かを破壊するときだけ自分が生きているのを実感するのだろう。
コイツは福岡のイシハラの所に送ったほうがいいな。
林田はそうおもった。
ここにいたら、いずれ誰かを殺し始めるだろう。
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