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結婚もしないし、学生気分がぬけない万年青年だと、からかっているのだろうか。それとも電力不足がまだ解決していない国家窮乏の折、この時間までコンピューターを扱っているのはいかがなものかと暗に非難しているのだろうか。
チャン・ジンミョンは平壌生まれだが、パク・ヨンスは北水白(プクスペク)山の麓の小さな村の出身だった。
小学校の頃から睡眠時間は4時間以上取ったことがなく、勉強に勉強を重ねてきた。
結婚しなかったのは、大学時代に好きだった同級生のリ・スンシュクが結核で死んだからだ。
「独り者だからといって、私は、仕事だけが生きがいという訳ではないよ」
パク・ヨンスはそう言って笑顔を作ってみせた。
ドアがノックされて衛兵がお茶を運んできた。
パク・ヨンスの机のうえは乱雑に散らかっていたので、衛兵は湯飲みをどこに置いていいかわからず、困った顔で突っ立っている。
だが目は宙を仰いだままだ。
部屋の中や来客の顔やコンピューターを見てはいけないと厳命されているからだ。
パク・ヨンスは書類を片付けて、湯飲みを置く場所を作ってやった。
まるで壁に映った影のように、一言も発する事もなく、衛兵は湯飲みを置くと部屋を出て行った。
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