prologue2

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「最近は、読むべき資料や分析を要する資料が多すぎるのだ」 お茶をすすりながらパク・ヨンスはそう言った。 それは事実だった。アメリカ大統領選挙の後でアジア情勢も激しく変化した。 「同志の研究と分析を聞かせて欲しいのだが、日本の動向をどのように考えれば良いのだろうか」 チャン・ジンミョンは窓外に向けていた視線を戻し、真顔になってそう質問した。 興味があるのはわかるが、どうして夜の10時に日本の情勢などを議論しなければならないのか。 しかも凋落を続ける日本のニュースは一般のテレビニュースでも連日報道されているではないか。 パク・ヨンスは誘導尋問かも知れないと思った。 「そうだな。さっきまで日本の内閣府のホームページを閲覧していたが、今週日本政府は、経済政策として、消費税をさらに2.5%上げて17.5%とするという方針を決めた。朝日新聞によると、旧自民保守派が中心である野党は、軍備増強としての財源として外貨の売却を主張して、これもまた多くの支持を集めている。 ただ毎日新聞によると、実はもう外債を含めて外貨は底をついたという説もある。円を防衛するために使ってしまったという事だ。」 パク・ヨンスは一度言葉を切り、再び話し出した。
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