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「パク先生、ご足労をおかけしました。挨拶は抜きにして、さっそく席にお着きください。」
そう言って出迎えたのは、組織指導部第4課長だった。
彼に案内されてたどり着いたのは三号庁舎の地下2階にある第1映写室だった。
他の場所の映写室とは雰囲気が全く違う。
集まっているのは10人程で、全員が軍服を着て煙草を吹かしている。
煙の匂いからすると日本製のフィルター付き煙草であるセブンスターに違いなかった。
緊張しているのでパク・ヨンスも煙草が欲しくなり、制服のポケットを探ったが、匂いのきつい中国製しかなかったので、気後れしてしまってやめた。
日常的にセブンスターを吸っている同志たちがこの映写室に集まっているということになる。
机が1個スクリーンの上にあるだけで、他に調度品は無かった。
何より異様なのは首領同志と将軍同志の写真が飾られていないことだ。
パク・ヨンスは2人の写真の無い部屋に入ったのは初めてだった。
2人の写真は南からの軍事侵攻で避難する際にも所持することが義務付けられている。
2人の写真が無いのは、そういう儀式めいたことが不要な部屋だということを示している。
「これから特別な映画が上映されます。」
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