prologue1

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お前たちはテロリストの心を知っているか、私達から、富を家族を奪った国家を私達は許さない。いつの日か復讐を と言う内容だった。 それをみて、林田は小さく笑い、あぁコイツもきっと預金を取られたんだな、と考えた。 アメリカの大統領が、アフガニスタンとイラクとイランとシリアの民主化に失敗しましたと認めた所、ドルが急激に下がり始め、円はしばらく上がったが、すぐにドルと入れ替わる様にして下がり始めた。 そのあと、地方自治体や特殊法人の債権がものすごい勢いで下がり、しばらくして、円が売られ始め、やがて国債が、次に株が暴落を開始した。 緊急事態との事で、株の取引はしばらく凍結され、銀行も閉まった。 国債を大量に持っていた銀行が潰れ、国が借金でパンクして、円が更に下がってしまうと、石油や食料が足りなくなって、寒さや餓えで人が死ぬ等と露骨な事が言われ始めた。 確か今から七年程前の春だったか、総理大臣と財務大臣がテレビのまえでペコペコと頭を下げながら、コレは日本を救う為です、これしか道が無いのです、と涙ながらに演説して、その日からすべてのATMが停止した。預金や貯金が自由に下ろせなくなった。独り者は幾ら、夫婦で子供一人につき幾らと、必要最低限の生活費が決められて、引き出しが制限された。
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