prologue1

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林田がそんな事を考えていると、NPOのテントから、スキンヘッドの男が真っ直ぐこちらに歩いてくる。 林田の前に立つなり、 「おはようございます。林田さん。」 と挨拶をしてきた。 林田は、何か用が有んのか、とぶっきらぼうに返すと、スキンヘッドは、頼みたい仕事があるんです。と言ってきた。 「何なんだ?」 そうきくと、 「一人、ヤバい奴が入ってきてまして、林田さんに会って頂きたいんです。」 何だ、ヤバい奴って、 林田が聞くと、 「何も話さないし、変な武器を持っているんですよ。」 「殴って追い出しゃあいいじゃねぇか。」 「どんなに殴っても出て行かないんですよ。二度も半殺しにしたのに。殴っても蹴っても全く表情を変えないし、気味が悪くて。」 ここには、たまにそんなのが入ってくる。 二年程前だが、ニシダという、少年が紛れ込んできて、ソイツは持っていた大型トランクの中に猛毒のムカデやヤスデを数百匹飼育していて、退屈凌ぎにホームレスたちを咬ませてけいれんさせたりしていた。 スキンヘッドたちNPOはニシダを追い出そうとしたが、ムカデが恐くて、誰も近づけなかった。 ソイツの元に林田が行くと、無邪気な笑顔を見せた。
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