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「どうして変な奴がこれほど増えたんですかね。」
スキンヘッドがそうきいたが、林田はこたえなかった。
林田は社会的常識に従っている人間のほうがよっぽど変だと思っていた。
誰でも人を殺す可能性がある。
スキンヘッドのようにニシダのような人間が世にいるのが変だと信じ切っている奴のほうがよっぽど変だ。
人間はどんな事でもやる自由と可能性を持っているから本質的に酷く恐ろしい。
「おまけにソイツはコードを最初から持っていないです。とんでもないことをしでかした奴に違いありません。」
コードというのは住民票コードの事で11ケタの番号だ。ICチップに入れたり暗号化して携帯電話に入力したりして、本人照合に使われている。
ちなみに林田も住民票コードなど見たこともない。
林田の本籍は東京都の八王子だが、ニグチと一緒に府中市の一画を爆破して逮捕された時に、親が戸籍を抜いてしまった。
住民票がどこにあるか知らない。
自分のコード番号を知らなければ、持っていないのと同じだった。
「林田さん、あいつですよ。よろしくお願いします。ここから出るようにいってください。」
バラックの間のパイプ椅子にその少年は座っていた。
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