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店長は嬉しいやら恐ろしいやらで訳が分からず、頭の中がパニックになった。
「パールちゃん!ちょっと来て!」
パールは女性従業員に周りを取り囲まれた。
「凄いじゃない!あの北村グループの御曹子からプロポーズされるなんて!一体何処で北村様と知り合ったの?」
「何処で知り合ったかって…私あの人と一度も会った事ありませんよ?」
「嘘ー!そういう雰囲気じゃなかったわよ?」
「とにかく私デザートを出しに行かないと…失礼します!」
パールは騒ぎ立てる女性従業員を振り切り、北村のテーブルへデザートを運びに行った。
「すみません!遅くなりました」
「俺は全然構わないよ」
北村はそう言うと、胸元から自分の名刺を取り出してパールに差し出した。名刺には…
<北村グループ代表取締役社長
北村 悟>
と、携帯電話番号が書かれていた。
「困った事があったら何時でも連絡をくれ。直ぐかけつけるからね」
「はぁ…有難うございます…」
パールには、社長の名刺を貰う意味が理解出来ていなかった。
もし北村の言う通り妻になれば、パールは社長婦人になって、今とは180度違う世界で暮らす事になるのだ。
そして全ての用事を終えて北村が帰る時間がやってきた。
「本日はお忙しい中お越し頂き有難うございました!」
「有難うございました!」
店長初め従業員一同は、ビシッと揃って北村に頭を下げた。
「こちらこそ、美味しいお料理を有難うございました。これなら店の繁盛間違い無しですね!」
北村はふとパールを見て、ニコリと微笑んだ。
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