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「御栄転て…クビですか?私が北村さんを殴ったりしたから」
「ハイハイ…お約束のボケはいいですから!朝礼始まりますよ?」
「あ…あの…」
「お早うございまーす!」
パールが戸惑う暇無く、控室からゾロゾロと昼間勤務の従業員が集まってきた。
そして数十名の人間を目の前にして、パールの店長就任挨拶が始まった。
「あ…あの…お早うございます…」
「お早うございます!」
(ヒー!どうしよう…)
「あの…今日から店長になりましたパールです…宜しくお願いします…」
「宜しくお願いします!てんっ!ちょー!」
(ヒャア!怖いよー)
従業員はパールがどう話しを切り出すか固唾を飲んで見守っている。
「あの皆さん…取り敢えず頑張りましょう…」
〓がくぅう!〓
パールの働くファミレスはダブルマネージャーシステムを導入している。24時間営業の店を一人の店長で仕切ると、サービスや従業員の管理にどうしても目の行き届かない部分が出てくる。
そこで朝から夜までと、夜から朝までの時間を二人の店長が管理しているという訳だ。
パールが任されたのは昼間の店長だった。
と言っても、実務はバイトや従業員が殆ど行う。ここの店長の仕事は、メニューを決めたり店の運営方針を決定したりといった事だった。
「でもビックリよねー!バイトからいきなり店長だもの」
三村は羨ましいやら怪しむやら何とも言い難い表情をしていた。
「やっぱあの人の仕業かな?」
「あの人って誰ですか?」
「アンタがひっぱたいた人に決まってるだろ?」
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