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二人は毎日布団を川の字に敷いて眠っていた。
「前の家ではいつもそうやってたの?」
「うん、お姉ちゃんがね…旦那の元気が無い時はいつも一緒に入って背中を流してあげてたの」
(羨ましいな…あんな美人と毎日一緒にお風呂に入れるなんて)
その時、総治の布団の中にパールがゴソゴソと潜り込んで来た。
「パール?どうしたの?」
「寒いの…ヘックシ…」
パールは猫の様に体を擦り寄せてくる。シャンプーの甘い匂いと柔らかい感触が腕に伝わってきた。
「私のお姉ちゃんと凜はね、毎日こうやって寝てたんだよ?それが羨ましかったんだ…私もいつか好きな人とこうしたいってずっと思ってた」
総治は気付くとパールの体を抱き寄せていた。
(溜息ついてる場合じゃない…パールを守れる強い男にならないと…)
「暖かいよ…総治…」
パールは安心したのか、いつの間にか眠ってしまっていた。
二人共この幸せがずっと続くと思っていた。少なくとも今だけは…
翌日からパールはファミレスのバイトに出た。
卓越した料理の腕とルックスで、パールはたちまち職場の人気者となった。
その日もいつもの様に職場に顔を出すと、店長がニコニコと声を掛けてきた。
「パールちゃん、今日から接客やってくれないかな?」
「接客ですか?」
「そう!ウェイトレス」
パールは店長が特注したユニフォームに着替えて客の前に出た。
「あ…あの…いら…いらしゃいませ…」
緊張の余り声が上擦るパールを客が見た瞬間!
(ぶふぅっ!)←客
客は思わず吹き出してしまった。
「ここって何時からメイドカフェになった訳?」
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