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パールは頭の中で段取りを組むと、さっそく料理に取り掛かった。
「あ…ここのガスコンロ使わせて貰いますね?」
「どうぞどうぞ、俺達に遠慮せずに好きに使って下さい」
「有難う!」
料理に取り掛かってから30分後、デザートのバニラアイスを残して料理が完成した。
「ふぅ…思ったより時間が掛かっちゃった」
パールはおぼんに料理を乗せて北村の元へと運んだ。
「ふぅ…ようやく出来たか…」
固唾を飲んでパールを見守っていた店長や三村もホッと一安心だった。
「あ、店長!」
「うわ!何だ突然、大声出して!」
「あの子メイド服のまんまですよ!」
「あぁ!ヤバイ!」
本当にヤバイのは、着る様に命令した店長だけだった。だがとき既に遅し…だった…
「お待たせしました!ご注文の和風ハンバーグ定食とツナオニオンサラダでございます!コンソメスープの方、容器の方が熱くなっておりますのでご注意下さい」
「有難う…」
北村は目の前の料理を見回して、何かを探しているようだった。
「デザートのバニラアイスはお食事が終わる頃にお持ち致します。その他に御用がございましたら呼び出しベルにてお呼び下さい。では失礼致します」
パールは北村に深々と頭を下げて店の奥へ戻って行った。
「パール君、ちょっと」
「はい店長、どうしました?」
「その服の事、何か言ってなかったかい?」
「メイド服についてですか?いいえ、何も」
「良かったぁ…」
店長は安心して全身の力が抜けると、その場へ座り込んでしまった。
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