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――西暦2012年
〔04月04日 (水)〕
「総ッッ監~! 閲覧室入室許可のサインを下さ~い!」
警視庁本部の最上階の一角。いきなり扉が開き、焦げ茶色のスーツ姿の若い女性が勢いよく部屋に入ってきた。
肩より少し長い髪を後ろで一つに束ね、赤いシュシュで結っている。スリムな体型で、背の高い彼女は机に方手をついて書類を差し出した。
「ん? 別に構わんが。……、一体何を調べる気だ?」
席に座って山積みされた書類に一枚づつ目を通していた男は一旦作業を止め、声の方へと顔を上げる。
その人物は五十歳代の男性で、年齢相応の身なりをしていた。苦労をしているのか頭髪は白髪が多く、体型は若干太め。
彼はここ、警視庁のトップ。つまりは警視総監だ。その彼は質問に対し“またか”とでも言いたげに顔をしかめる。
「えッ!? え~っとぉ、言わなくちゃ、ダメ、ですか?」
そんな事はお構い無しと、彼女は上目使いで更に攻めたてる。目をパチクリと瞬きさせる様は多くの男を落としただろう。
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