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―――――…
「ここ…ドコ?」
えーっと…あれっ?
なんか頭がボーッとして、思考がまとまらない…
「そこの女!ここで一体なにをしている?」
目の前には二本差しの侍?…と言うか、浪人風の男がいて、すごく殺気だった顔で私を見下ろしている。
――何?ドッキリ?
女って…辺りを見回す限り、このコスプレ男と私しかいないから、私のコトだよね?
ってか、"ここで何を"と言われても、それを考える前に話しかけられたから答えようが無いんだけど…
「その妙な髪の色、姿…、お前!何者だ!?」
はぁ!?浪人のコスプレしてるヤツに言われるほど妙な格好なんかしてないっつうの!失礼な!!
何なのコイツ、ドッキリの役者かなんか知らないけど、なりきるにもほどがあるでしょ。
決めた!逃げるが勝ち♪
「あのぉ…気に障ることしたり、なんか邪魔したんなら謝ります、ごめんなさい!じゃあ、そういう訳でサヨナ…ラぁっ!?」
その場を立ち去ろうとしたけど、男の予想外な動きに目が釘付けになった。
――浪人さぁん!なんで刀を抜くの!?撮影用の刀でも当たったら怪我するって!ねぇ?冗談でしょ!?
泣きそうになったところへ更に追い討ちの一言…
「逃げようとするとはますます怪しい奴…死ねっ!」
「痛っ……」
痛みが走った左腕に視線を落とすと、服が切れ、血が滲んでいる。
かすっただけで切れるなんて…まさか!彼が手にしてるのって真剣!?
反射的に後へ跳んでなかったら、腕無くなってた!?死んでた!?
もう絶対ドッキリなんかじゃないよねコレ!?
ってか、そんな事を悠長に考えてる場合か私のバカ!
――早く逃げなきゃ…
そう思うのに、足がガクガク震え、体全体が強張って動かない。
――なんで?どうして?私、死ぬの?
こんな浪人になりきった変な奴に斬られて?
――嫌だ!そんな死にかたしたくない!!
「怖いのか?なぁに心配するな、俺に女をいたぶる趣味はないんでな…すぐ楽にしてやる」
男は刀を上段に構えると、冷たい笑みを浮かべて刀を振り下ろした…
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