僕と君と。

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「人が消えて無くなる時って、どんな時だと思う?」  夕暮れにより、茜色に染まる河原で君は不意に口を開いた。  何とも言えずに、斜面に寝転んだまま君を見詰めると、不思議そうな笑顔で微笑んだ。 「人が消える時かー……。死んじゃった時とかじゃないかな?」  在り来りな答えなんだろうが、僕にはこの答えしか思い浮かばない。  僕の解答に納得しているんだか、していないんだか分からないが、君はうんうんと微笑みながら頷いている。 「私はね、こう思うんだ」  沈んでいく太陽を眩しそうに目を細めながら見て、一呼吸置き口を開いた。 「人が消えて無くなる時は、誰からも思い出されない時だと思うの。貴方もそう思わない?」  うーん、と頭を捻る。  誰からも思い出されない事、か。確かにそうだと思う。
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