浜野栄太

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……げんき? 元気って何だよ。 お前がその元気を、奪ったんだろが。 なのになんで気にかけてる? 「元気も何も……この間会ったじゃん。家行ったんだろ?あの時のままだよ。別に何も変わってない」 来た道を戻り、再び鈴原の方へと歩く。 更に雪が多くなり、段々と視界が悪くなる。 そんな中でも鈴原が笑っているのがわかる。 俺はなるべく落ち着かせた声で言った。 「お前があの時家の中で宮田に何をしたのかしらないけど……良いことをしたわけじゃないのは誰だってわかるよな。あいつのあの顔を見れば」 『マリアげんき?』 本当何言ってやがんだ? ……薬物中毒者で精神異常者のコイツの、本気かどうかもわからない一言。 そんな一言で宮田がこれからも、天国へ行ったり、地獄へ行ったりするのは、もう、耐えられない。 俺は続けた。 「宮田あの後、泣きまくってやばかったんだよ。もう、お前のこと嫌いで嫌いで仕方ないって。二度と目の前に現れないで欲しいって。」 呆然とたたずむ鈴原を目の前に止まらない。 「死んで欲しいって。人間のグズだって。同じ地にいるのも嫌だって。付き合ってた時間が無駄だったって。つーかなんで付き合ってたんだろうって」 行き過ぎだろ俺。 言いながら思わず笑いそうになるが、堪える。だって同じ地にいるのも嫌って……かなり笑える。 まあ嘘でしかないが、内心宮田はそう思ってると思うね。俺は代弁してあげただけ。 「わかるかな?鈴原くん。もう嫌いって。おしまい。宮田とはおしまい。でも良かったじゃん?嫌われたかったんでしょ?」 俺は頭の悪いガキに語り掛けるように言った。だってそうでもしなきゃ、コイツわかってない気がして。 急に、降っていた雪が減り、視界が晴れた。 「!」 鈴原はやはり笑っている。目線はもうあわなく、いつものように地面を見つめていた。 そして一言、 「そっかあ」 とだけ言った。
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