4230人が本棚に入れています
本棚に追加
……げんき?
元気って何だよ。
お前がその元気を、奪ったんだろが。
なのになんで気にかけてる?
「元気も何も……この間会ったじゃん。家行ったんだろ?あの時のままだよ。別に何も変わってない」
来た道を戻り、再び鈴原の方へと歩く。
更に雪が多くなり、段々と視界が悪くなる。
そんな中でも鈴原が笑っているのがわかる。
俺はなるべく落ち着かせた声で言った。
「お前があの時家の中で宮田に何をしたのかしらないけど……良いことをしたわけじゃないのは誰だってわかるよな。あいつのあの顔を見れば」
『マリアげんき?』
本当何言ってやがんだ?
……薬物中毒者で精神異常者のコイツの、本気かどうかもわからない一言。
そんな一言で宮田がこれからも、天国へ行ったり、地獄へ行ったりするのは、もう、耐えられない。
俺は続けた。
「宮田あの後、泣きまくってやばかったんだよ。もう、お前のこと嫌いで嫌いで仕方ないって。二度と目の前に現れないで欲しいって。」
呆然とたたずむ鈴原を目の前に止まらない。
「死んで欲しいって。人間のグズだって。同じ地にいるのも嫌だって。付き合ってた時間が無駄だったって。つーかなんで付き合ってたんだろうって」
行き過ぎだろ俺。
言いながら思わず笑いそうになるが、堪える。だって同じ地にいるのも嫌って……かなり笑える。
まあ嘘でしかないが、内心宮田はそう思ってると思うね。俺は代弁してあげただけ。
「わかるかな?鈴原くん。もう嫌いって。おしまい。宮田とはおしまい。でも良かったじゃん?嫌われたかったんでしょ?」
俺は頭の悪いガキに語り掛けるように言った。だってそうでもしなきゃ、コイツわかってない気がして。
急に、降っていた雪が減り、視界が晴れた。
「!」
鈴原はやはり笑っている。目線はもうあわなく、いつものように地面を見つめていた。
そして一言、
「そっかあ」
とだけ言った。
最初のコメントを投稿しよう!