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放課後。
私は教室で1人、アヤネを待っていた。
『アヤネ何で追試なんかやってんだよ。本当バカだよなあ』
夕焼けの中で携帯をいじる。セイちゃんのことを、考えながら。
セイちゃん、本当にあのとき、あの女逃がしてよかったの…?
ガラッ。
教室の扉が空いた。
『アヤネ?』
アヤネではなくて、入ってきたのは杉山先生。
「おー宮田。まだ残っていたのか?さては追試か」
ふくよかながっしりした体でフサフサの髪を揺らしながら教室に入ってくる。
「違いマース。あたしアヤネほどバカじゃないもん」
「そうか?先生から見たらどっちも一緒だけどな」
先生は掃除道具をあさり、ホウキを数本抱える。
「おい宮田、暇なら手伝ってくれないか?この掃除用具音楽室に運ばなきゃいけないんだ」
重そうに歩く杉山。
手伝ってやるか。
どうせ暇だし。
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