浜野栄太

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ゲーセンで両替しまくり、千円札をすべて百円にした。 どさりと台の上に百円玉を置き、次々と差し込み口に放り込んでいった。 さっき取った景品のうまい棒を加えながら言う。 「宮田もやる?」 宮田は呆然と機械の中で積み重なったぬいぐるみを見つめていた。 俺は無言で宮田の目の前に大量の百円玉を置いた。 「やんなよ~」 へらへらしながら心の中ではどうにかなりそうだった。宮田お願い、何か言えよ。 俺は現実から逃げるようにUFOキャッチャーに夢中になった。横から上から、狙いを定めて縫いぐるみに集中する。 これ取れなかったら、取れなかったらもう終わり。宮田は俺を放置して逃げ出す。『ヌイグルミも取れないなんて最低!もう顔も見たくない!』そう言って俺の元を去っていく。 でも取れたら、取れたら宮田は俺に抱きつき、『ありがとうありがとう、浜野くん大好き!ずっとこれが欲しかったの!付き合おう!』と言って付き合うことになる……。 気づけば俺は訳のわからない賭けをしていが、その時は本気だった。本気でそうなる気がしていた。 ―狙いを定め、クレーンを下ろした。 「っしゃー!!」 「!?」 見事景品をゲットした俺は一人喜び、ガッツポーズをしていた。直ぐ様ヌイグルミを宮田に見せた。 「取ったよ!付き合おう!」 宮田は何が起きたのかわからないような顔をしていた。
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