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――宮田を家まで送った。
部屋の中まで荷物を運び、ベッドの上に座った宮田に元気よく言った。
「今日は振り回してごめんね。明日は学校来なよ!」
宮田は沈黙し、迷うように床を見つめた後、不器用に微笑んで言った。
「わかった……行く」
そんな宮田の頭をまた数回撫でて、部屋を出る。
明日は本当、来るといいな。
―外に出ると更に寒さが増していた。
雪は多くなり、吹雪に近くなっていた。凍てつく風からマフラーで顔を守りながら歩き、自分の家を目指す。
……?
家の近くにつくと、一つ人影があった。
誰だよ、こんな吹雪なのに。
「はろぉ」
……近くに寄ると、その人影は鈴原だった。
頭や肩にたくさん雪を積もらせて突っ立っている。
そして一つ、変わった点。……眼鏡をかけている。
「……鈴原じゃん。一瞬誰かわかんなかった。つーかどうしたの?メガネだっけ」
「女の子に買ってもらったのー。いいだろー」
鈴原は自慢気に眼鏡の端を押し上げて知的っぽいポーズを取った。
「お前……目、悪かったの?」
「まぁね~」
「ふーん。それで?何か用?」
「浜野くんに用事って言ったら一つしかないだろ~?」
あ、そうか。
「これ?」
俺はカバンから大量に薬の入った袋を取り出した。
鈴原は駆け寄り、それを取り上げる。
「あ、金払えよ」
「わかってるよー」
鈴原は握りしめてくちゃくちゃになった札を俺に渡した。
「まいど」
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