逃避

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  私はクラブにいた。踊って飲んで、ヘロヘロに泥酔していた。 「宮田~。そこらへんにしといたら?」 「うるさいな。別にいいでしょ?浜野くんももっと飲みなよ~」 浜野くんは呆れたような顔をした。 授業のとき以外は、浜野くんは一日中私と一緒にいてくれた。 今だって私の気まぐれに付き合ってクラブまで来てくれてる。 「ちょっと私もう一回踊ってくる~」 私は立ち上がり、ふらふら中央へ歩き始めた。 「えーまじ?待てよ~!」 浜野くんは私を追いかけようとしたけど、すぐに他の女の子に声を掛けられて足止めされた。 ―本当モテるなぁ。 さっきから女の子たちがみんな声を掛けたそうに、浜野くんを見ている。 羨ましいなぁ。 ……でも、私だってね。 負けない。 私は何故か浜野くんに変な対抗心を燃やし、目の前のお兄さんを逆ナンした。 「はろぉ。一緒に飲みませんかぁ」 お酒で目の前がくらくらして、お兄さんの顔が良くわからない。……でも。 「お兄さん、かぁっこいいですねぇ」 「嘘!まじ!?一緒に飲む!?」 お兄さんは嬉しそうに私の肩に手を回し、カウンターの方へ連れて行ってくれた。 女の子に話しかけられ、ウザそうにしている浜野くんの隣に、わざと座ってやる。 「宮田~もう帰んない?超ウザ……」 ウザいんだけど。そう言おうとした浜野くんが言葉を失った。 「帰っていいよ~別に強制はしてないし。どうぞお帰りください。私はこのお兄さんたちともう少し遊んでたいの」 ゴクリと酒を飲む。浜野くんは明らかにさっきより呆れた表情をした。 それもそのはず。私の周りには少なくとも3人の男がいたからだ。 ……どうだ見たか!あんたに勝ったよ私! 更にお酒を飲み続ける私の腕を、浜野くんが掴んだ。 「お前、飲み過ぎ。帰るぞ」 浜野くんがそのまま立ち上がろうとした。 私は振り払った。 「いやぁ!まだ飲みたいの~!この人たちと飲みたいの~!!」
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