逃避

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    翌日。 浜野くんに怒られたのは言うまでもない。 「あのなぁ……行き過ぎ。もっと自分をさぁ……なんだろう……そう、大切にしろよ……はっきし言って宮田がそんな奴だと思わなかった……」 浜野くんは痛そうに頭を抱え、話すのも億劫そうに言った。 「浜野くん……なんか体調悪そうだね。二日酔い?……仕方ないよね。あれだけ飲んだんだもん。すごい量だったよね。ちゃんと断らないからああいうことになるのよ。いい人ぶってたらすぐにつけ込まれるのよ。 ……それに今日、遅刻してきたでしょ。私もだけど。でも浜野くん、私より遅かったよ。 ……これは予想だけど……あの後あの子たちとヤったんでしょ?それで朝起きたら、全然見覚えのない場所に見覚えのない女の子。『昨日は最高の夜だったね、栄太』なんて言われちゃって。頭は痛いし何も覚えてないし、一体これはどういうことだ?とか言っちゃって!!」 クスクスクスクスクス。飽くまで予想だけどね! そう言いながら私は浜野くんを見た。 浜野くんは私を睨んでいる。 『!』 そのまま壁に押し倒された。 私は挑発するように言った。 「え?え?どうしたの?ま、まさか図星!?超ウケる!!!!飽くまで予想だったのに!!!! ……どぉだった??3Pは……あ、4Pか」 キャハハハハ! 馬鹿笑いをする。 「お前いい加減にしろよ」 今度は私が浜野くんを睨み付けた。 「はぁ?何がいい加減にしろよなの?そっちこそいい加減にしたら!?自分ばっかり棚にあげてやってることは私と一緒じゃない!私を説得したいんだったらまず自分からなんとかしなよ!」 浜野くんを突き飛ばした。 浜野くんは見飽きた呆れ顔をしている。 見飽きた。 もう見飽きたその表情。 見飽きたんだよ。 先生も友達も。 みんなその表情。 「待てよ」 風を切って歩き出した私の腕を、浜野くんは掴んだ。 「俺も……なおすから……宮田も、なおそうよ、一緒に」 浜野くんの切ない茶色の瞳が私を捕えた。 ……なおんねーよ。 その手を振り払う。 「実は私ヤってないと頭がどうにかなりそうなんだぁ」 浜野くんは目を見開いた。……そうこれが、本音。 だから私は、救いようが無いの。ゴメンネ。
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