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 翌朝、私は何かが落ちる音で目が覚めた。  ソファーから起き上がり、音がした方に目を向ける。  案の定、男がベッドから落ちていた。  しかも仰向けで。  どう落ちたら仰向けになるのか不思議でたまらない。  落ちたまま微動だにしない男に近付くと、私の気配を感じたのか、固く閉じていた瞼を開けた。  思っていた通り、黒曜石のように綺麗な瞳をしている。 「あんた、誰」  第一声がそれか。 「君を拾った者だが」 「……」  落ちた彼を見下ろし、視線を逸らさずにいると、彼はフイッと横を向いた。 「とりあえずベッドに戻れるか?」 「……」  無言とは良い度胸じゃないか。  私は有無を言わさず彼の首の下に腕を差し入れ、肩を支えながら起き上がらせた。  腹の傷が痛むのだろう、彼は眉間に皺を寄せるも何も言わない。 「このまま私に抱かれてベッドに戻るのと、自力で戻るのどっちが好みだ?」 「……自力で」  不服そうに呟き、彼はベッドに戻り私に背を向けて横になった。  今の動き方をみると、思っていたよりも傷は浅かったのかもしれない。
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