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 私は昨日そのままにしておいた椅子に座り、窓から外を眺めた。  今日も外は晴天だ。  ここ数日は雨も降らず、秋晴れの爽やかな日が続いている。  先日即位した若い国王を、空も祝福しているかのようだった。  私と彼の無言の時間が過ぎていく。  何から話を切り出せば良いのか。  多分彼は眠らずに、こちらの様子を背中で窺っている。そんな気がする。 「君、名前は?」  私の問いかけに肩で反応したが、振り向かない。 「私は、リシンシ」  反応が全くない。  耳は聞こえているみたいだから、昨夜の経緯を話しておくか。 「私は昨日の夜、東の森で倒れている君を見つけた。 見捨てるわけにはいかなかったから、私の屋敷に連れてきた。 今にして思えば、見ず知らずの何処の馬の骨とも判らない輩をよく連れてきたものだと自分でも思っている」  彼はゆっくりと寝返りをうち、私を見た。  奥二重の黒い瞳に、長い睫毛が印象的だ。 「ありがとうございました」  思いかけない言葉に、私は一瞬反応が遅れた。  案外素直、なのかもしれない。
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