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「いつまであの者を滞在させるおつもりですか」
私がかなり遅い朝食をとっていると、執事長のスバルが眉間に皺を寄せながら食堂に入ってきた。
「怪我が治るまで」
皿のりんごにフォークを刺し、私は答えた。
昨晩クロを運び込んだ時、スバルは所用で屋敷を空けていた。
今朝になって屋敷に戻ってみると、見知らぬ男が主の部屋に居ると報告を受けた時の彼の衝撃は想像に難くない。
スバルは私が幼少の頃から家に仕えている執事で、齢50を越える。
今回私が長期休暇のため本邸のある王都を離れ、この東の森にある別邸に居を移すにあたり、その一切を仕切っていたのがスバルだ。
私を我が子のように厳しく可愛がり、色々と躾てくれたのも彼だ。
お陰で文武両道、対人戦闘ではそこらの王宮騎士を相手にしたって負ける気はしない。
「リシンシ様」
スバルが私を嗜める口調になった。
これは話が長くなる。
私はりんごを口に放り込み、勢い良く椅子から立ち上がった。
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