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「調子はどう?」
私は椅子に座り、クロに尋ねた。
「そんな数時間で変わらないよ」
憎まれ口を聞く元気はあるらしい。
「痛みは?」
「それは薬のお陰か大分引いた。けど……」
「けど?」
「さっきめちゃくちゃ迫力のある執事さんが来て、包帯とか取り替えてくれたんだよね……」
それはきっとスバルだ。
彼はクロに会ってから、私の所に来たのか。
二人のやり取りを想像して笑ってしまった。
「彼はこの屋敷の執事長だ。悪い人間じゃない」
「それはそうだろうけど、すごく威圧感が……」
「まぁ主の部屋に居る男を警戒するなというのも無理がある。甘んじてそれくらいは受け入れろ」
「……うん」
クロは小さく頷くと、再び外を眺め始めた。
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