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「暇なら本でも持ってこようか」  私の提案にクロはこちらも見ずに答える。 「それじゃあ、官能……」  清々しい空を見上げながら、なんてことを言うのだ。 「歴史書と童話を持ってこよう」  私は屋敷の司書室から、クロのためにコクヨウ国の歴史書と、小さい頃私のお気に入りだった童話を数冊、部屋に運び込んだ。  それを見たクロは、不服そうに歴史書を手に取りながらも読み始めた。  私は寝室にクロを残し、書斎で机に積まれた療養見舞いの手紙の山に目を通す。  たまに仕事依頼の書類も混ざったりしており、時間があれば依頼を受けようと思った。  こうして私とクロの奇妙な生活が幕を開けた。
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